日本の小説投稿サイトにおける「AI執筆」取り扱い比較(条件付き許容編)

 


日本の小説投稿サイトにおける「AI執筆」取り扱い比較(条件付き許容編)

生成AIでの執筆支援が一般化した一方で、小説投稿サイト側は「全面容認」ではなく、区別(明示)露出制限(ランキング・新着・公式導線)コンテスト参加制限など、サービスごとに異なるルールを整備しています。
本記事では、国内主要サービスのうち、**AI利用を“条件付きで許容”している(または投稿自体は可能だが扱いに制限がある)**ケースを中心に、実務的に使える形で整理します。なお、運用は頻繁に更新されるため、最終的には各公式ガイドラインの確認が必須です。


まず押さえるべき「AI利用の3類型」

サイトの説明は少しずつ言い回しが違いますが、実務上は次の3つに分けて考えると判断が安定します。

  1. 本文の大半がAI生成(生成文を軽微修正・結合したものを含む)

  2. 本文の一部がAI生成(一部の段落・描写など)

  3. 補助利用(アイデア出し、プロット検討、校正、構文チェック等。本文自体は人が書く)

多くのサイトは「1・2」をAI生成作品として扱い、表示上の区別ランキング/イベント制限をセットで導入しています。一方「3」は“AI生成作品”の範囲外とする設計が増えています。


条件付き許容サイト 比較表(主要ポイント)

サイトAI生成作品の投稿明示・区別の方法ランキング/新着の扱いコンテスト/イベント実務メモ
カクヨム可能(条件付き)利用状況に応じ推奨タグ(AI本文利用/一部/補助)タグで不利にならない旨を明示コンテスト応募時は該当ならタグ必須“補助”の定義も追記あり
ノベルアップ+可能(条件付き)投稿時に「AI生成作品」チェックで区別AI生成作品はランキング対象外原則、公式コンテスト・イベント参加不可画像(表紙/挿絵)も明示ルールあり
PageMeku(ページメク)可能(条件付き)サマリーに「AI生成作品」記載を必須新着・ランキングに載らない等の制限原則、参加不可SNS等の公式露出にも制限あり
pixiv(pixivノベル)可能(条件付き)「AI生成作品」設定で明示(ラベル表示)AI生成作品ランキング等の枠組み(企画ごとに別途)“表示しない”設定のユーザーには出にくい
エブリスタ可能(条件付き)定義提示(AI生成作品=大半/ほぼ)(公式説明上は個別に要確認)(公式説明上は個別に要確認)規約・コミュニティGL遵守が前提
アルファポリス投稿可否は別として、出版申請・コンテストで禁止“大部分がAI”を対象、補助利用は対象外(コンテスト面での話)全コンテスト参加と出版申請を禁止受賞/出版打診後に判明すると取り消し

各サイトのルールをもう一段「使える」形に落とす

カクヨム:タグで“透明化”しつつ、ランキング不利は否定

カクヨムは、生成AIの使用状況に応じてタグ(AI本文利用/AI本文一部利用/AI補助利用)を推奨し、特にコンテスト応募では該当する場合にタグ付けを求めています。また、タグがあることでランキング等で不利にならない旨も明示しています。
実務的には「読者に隠さず、運営の区分に沿って出す」ことが第一になります。

ノベルアップ+:投稿は可。ただし“ランキング対象外+公式イベント原則不可”

ノベルアップ+は、AI生成作品の投稿・公開自体は可能ですが、投稿時に「AI生成作品」をチェックして区別する仕組みです。AI生成作品はランキングに掲載されず、公式のコンテスト・イベント参加も原則不可と明記されています。
さらに、AI生成の表紙・挿絵を使う場合の明示、AIを大部分に使った応援レビュー投稿の禁止など、周辺機能にもルールが及んでいます。

PageMeku:明示必須+露出導線が強く制限される設計

PageMekuはAI生成作品の投稿を可能としつつ、投稿時サマリーに「AI生成作品」の文言を必須にしています。加えて、新着やランキングに載らない、コンテスト参加不可、SNS等の宣伝導線に載らない等、露出面の制限が明確です。
「AI生成でも出せるが、通常作品と同じ勝ち筋では戦えない」設計なので、目的(販売誘導・実験公開・学習)を割り切る必要があります。

pixiv:AI生成“設定”が露出を左右する(表示OFFユーザーが存在)

pixivはAI生成作品を「制作過程のすべて、もしくはほとんどをAIによって生成」と定義し、小説でも該当する場合はAI生成作品として扱う枠組みを用意しています。一方で、小説で挿絵のみにAI生成物を使う等、補助的利用ならAI生成作品設定を必須としない旨も示しています。
また、AI生成作品設定を「はい」にするとAI生成作品ランキングの対象となるほか、AI生成作品を“表示しない”設定のユーザーには一定範囲で表示されなくなると説明されています。
つまりpixivは、適切にAI設定をするほど、見えない層が増える可能性がある一方、AI枠での導線もある、という二面性があります。

エブリスタ:投稿は可能。ただし“AI生成作品”の定義を明確化

エブリスタはAI生成作品を「制作過程のすべて、もしくは大部分をAIで生成」とし、小説についても「AI生成文の組み合わせや軽微修正を経たもの」を含めて定義しています。プロット/アイデア出し等の補助的利用は範囲外とも明記しています。
また、AI生成作品の投稿や、AI生成画像を表紙・挿絵に使うことは、利用規約・コミュニティGL遵守の限りで可能と説明しています(著作権侵害等は禁止)。
ランキングやコンテストの扱いは本ページでは明言されていないため、参加する企画ごとの要項確認が安全です。

アルファポリス:コンテスト参加と出版申請は“AI生成作品NG”

アルファポリスは、AI生成作品でのコンテスト参加および出版申請を禁止する方針を示しています。
対象は「作品の大部分で文章(漫画/絵本は画像も)作成を主目的として生成AIを利用したもの」で、プロット検討や校正など補助的利用は対象外とされています。
また、受賞や出版打診後にAI生成作品と判明した場合は取りやめになる旨も報じられています。


目的別:どのルールが“効いてくる”か

  • ランキングで伸ばしたい
    → 「AI生成作品はランキング対象外(ノベルアップ+/PageMeku)」は致命的になり得ます。
    → カクヨムはタグ自体で不利にならない旨を示す一方、どの程度AI本文が許容されるかは企画要項と運用に依存し得ます。

  • 公式コンテストで勝ちたい/書籍化を狙いたい
    → アルファポリスはAI生成作品のコンテスト参加・出版申請を禁止(補助利用は除外)。
    → ノベルアップ+/PageMekuも原則不可。
    → つまり「AI本文生成」を前提にすると、勝ち筋が狭まる設計が増えています。

  • 趣味公開・実験公開・読者コミュニティ重視
    → pixivのようにAI設定の枠組みがあり、閲覧側が表示制御できる設計は相性があります。


事故を避けるためのチェックリスト(運営・読者トラブル対策)

  1. “AI生成作品”判定の根拠を自分で説明できる状態にする(本文のどこまでAIか、補助か)

  2. サイトが求める明示手段に合わせる(タグ、設定チェック、サマリー記載など)

  3. 表紙・挿絵にAI画像を使う場合は、明示要件を必ず確認(ノベルアップ+等)

  4. コンテスト・イベントは“本文AI”の可否を要項で再確認(サイト全体の方針とは別に、企画要項が優先されることがある)

  5. 著作権・類似性リスクは自己責任領域が大きい(投稿前に素材・生成条件・似すぎを点検)


まとめ:今後の主流は「全面禁止」より「区別+導線制御」

現時点の国内主要サービスの傾向は、「AI執筆はダメ」と単純に切るよりも、
(1) AI生成作品として明示させる → (2) 露出導線(ランキング・新着・公式企画)を分離/制限する
という設計に寄っています(ノベルアップ+、PageMekuなど)。

一方で、アルファポリスのように「コンテスト/出版申請」という商業導線では明確に線を引く例も出ています。
AIを“どこまで使うか”だけでなく、「何を狙うか(ランキング/コンテスト/コミュニティ)」から逆算して、投稿先と運用(明示方法)を決めるのが現実的です。

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